成功事例を公開しているが効果がいまひとつ...。

成功事例はノウハウではありません

成功事例には成功事例の、ノウハウにはノウハウの活用方法があります。この両者の違いを認識して使い分けをしていく事によって、より効果的な情報共有をしていくことが可能になります。

一般的に成功事例を公開する目的は、
(1)がんばっている人を紹介して他の人にももっとがんばって欲しい。というモチベーション高揚の狙い
(2)出来る人を見習ってあなたも実行しなさい。というお手本を示す狙い
があります。狙いが前者(1)の場合は確かに成功事例の活用が効果的です。しかし後者(2)を主な狙いとした場合、成功事例だけではお手本として少し無理があります。ここで活用すべきがノウハウです。

もちろん対象者(見習って業績を上げて欲しい人)にもよるところがありますが、ここでは
 優秀な人:普通の人:努力を要する人=2:6:2
と、一般的にいわれている6割を占める普通の人を対象として考えています。

この層の人達はやる気がないわけではないが、一歩踏み出せない人達です。きっかけさえつかめば優秀な層へランクアップできる可能性が高い人達ですが、成功事例を提供してもそれはなかなか難しい。
なぜならば、成功事例は既に一歩踏み出している層の人達のものだからです。

踏み出したその向こうに成功があるのですが、一体どうやって踏み出したのか、その方法は優秀な人自身でもわからない程、意識的なものではありません。
優秀な人達は、ただ夢中に取組んでいた、考える余裕などなかった等、直感的且つ営業マンの本能的な行動から結果を出しています。これがノウハウです。
つまり手本として欲しいのは、結果より、どうやって踏み出したか=ノウハウの部分になります。

ですから一歩踏み出す前の6割の人達を踏み出させる為には、優秀な人達の直感的且つ営業マンの本能的な行動とはどんなものであったか。について教えてあげる必要があるというわけです。

きっかけを自らつかませるのではなく、きっかけをつくってつかませてあげなければいけません。
最初の一歩を踏み出してもらうためには、理解しやすく、消化しやすいようにしてあげる必要があります。このようにして1人でも多くの人を優秀な層へランクアップさせてあげたいものです。
一人ひとりの能力を高めることで、企業全体の価値が高まる訳ですから。

ノウハウは成功事例を分析することで解明できます

この手法をノウハウ分析と言います。優秀な方の成功事例をインタビューによって収集し、帰納的な手法で分析します。そして情報共有の為にその分析結果をコンテン化しますが、コンテンツ化のポイントは演繹的手法により対象となるユーザーにとって必要となるキーワードを定義することです。これによって理解しやすく消化しやすいコンテンツに仕上げることができる訳です。

 ★関連記事→ノウハウ分析の事例:新規融資開拓

営業はセンス?

『やっぱり営業はセンスだからね』

銀行本部で融資業務や営業推進業務に携わる方から、よくこのような話を伺います。これは即ち、『誰にでも簡単に覚えられることではない』という意味の表現であり、直言すれば、人材を育成しなければならない立場の人が、『センスは教えることはできない、努力して経験から学んでくれ』と言い放っているということになります。

確かに新規融資開拓などは、顧客との接触において、顧客のビジネスモデル、業界情報、ベンチマーキング、財務分析等の知識に加え、話を展開する会話力も求められます。
又、その前にもっと基本的なところで新規顧客を訪問する勇気やモチベーションも必要になります。なるほど難しい業務であることは事実だと思います。

“さじ”を投げているわけにはいかないのでは.....。

しかし一方、銀行にとって新規融資開拓が重要なテーマであることも間違いありません。難しいことであっても、『誰にでも簡単に覚えられることではない』と匙を投げているわけにはいかないのではないでしょうか。

このように申し上げますと推進部門の皆様から『そんなことはない』とお叱りの言葉をいただきそうですが、実際にどんな指導をされているかといえば、『案件はどれだけある?なぜもっとアタックしないの?訪問件数をもっと増やしなさい!』といった表面的な指導に終始しているのが実態だと思います。

同行訪問など実践的な個別指導の機会もあるかもしれませんが、頻度は少なく皆様が一様に個別指導を受けられるわけでもありません。
結局能力開発の大半は、自助努力に委ねられているのが現状です。それでも銀行には優秀な方がちゃんといるもので、自助努力によって業績を伸ばす人がでてきます。
これまでは、このような優秀な人材の出現に助けられ『やっぱり営業はセンスだからね』と言っていられたのだと思います。

時代が変わり、学ぶ姿勢も変わりました。

しかし、たとえ銀行の皆様が優秀であっても、自助努力で伸びる人を期待しているだけでは、経営目標は達成できなくなってきました。
今の人達は優れた人材であっても自ら学ぶのは得意ではありません。情報化社会の中で、よりわかりやすい、より使いやすいものが次々に提供される時代になり、学ぶ姿勢も受身になってきました。
このような時代の変化によって自ら学ぶ事を前提とした教育・指導の方法には明らかに無理が生じてきたわけです。

即ち、これからは意識的に教える教育・指導に転換していかなかれば人は育たない。人材育成の成果を出すためには、よりわかりやすい、より使いやすい教育・指導の方法を取り入れて、受身の姿勢に慣れてしまった人達が学べるような工夫をしていかなければならないということです。

言い方を変えれば、教育・指導の方法を転換することによって人は育つということです。

それでは一体どのように教育・指導の方法を転換していけばいいのでしょうか?
 ★弊社の考え方→EPSの適用で人材育成と営業店支援を強化
 ★方法転換の例→優秀な営業行員のノウハウをコンテンツ化

必要なのは『トラの巻』

集合研修が現場で役に立たないと聞きますが.........

最終的には、現場の皆さまに正確な顧客対応、事務処理をしていただくための教育ですから、もっと現実的な研修が必要なのだと思います。

実際に現場の皆さまが頼りにしているのはお手製のトラの巻、研修資料は引き出しの奥、事務取扱要領を参照する機会はどれくらいあるでしょうか。
トラの巻を作るのは生徒の仕事でした。研修で覚えたことを、現場で自分が使いやすいようにまとめ、少しずつ書き加え、ノートがぼろぼろになるまで使い、転勤の時に愛弟子に引き継ぐ。古き良き習慣であったかもしれません。

しかし、即戦力が求められる今、事務水準の向上を一人ひとりが作るトラの巻に期待していては始まりません。
そもそもトラの巻を作らなければならないのは、研修資料が不十分である事を物語っています。本当に必要なものを提供する研修の方法に変えていけばこのような問題が解決できます。

考え方としては、集合研修でもOJTでも現場の実務でも共通に使えるずばりこうやれば間違いありませんというトラの巻の要素を備えた、それぞれのシーンで共通に使える資料を提供ることができれば良い訳です。

『共通に使える資料』→集合研修資料OJT研修資料トラの巻

この『共通資料』を使い、『皆さんは現場に配属されたらこのような事務を行うことになります。そのやりかたはこの通りです』といった実務研修を実施する。その上でOJTに臨み研修で習った事を実行する。その時に忘れてしまったことをこの『共通資料』で確認する。

この様な教育体制、学習体制ができたら理想的だと思いませんか。徹底した現場主義の教育の実施により人材の早期戦力化が図れます。
既にいくつかの銀行様ではこのような『共通資料』の位置づけとしてEPSを導入し、事務指導の強化徹底を開始されています。

ノウハウ分析ってどういう手法なんですか?

ノウハウには種類がある

ノウハウ分析の手法について聞かれることがあります。
ご説明するにあたり、先ずノウハウの種類について少し触れておく必要があります。

例えば、
1. 職種的に分類すると事務系のノウハウと営業系のノウハウ
2. ノウハウ保持者のタイプで分類すると感応型のノウハウと方程式型のノウハウ
等が代表的なノウハウの分類と種類です。

今回2についてお話します。
感応型のノウハウというのは、日々の業務の積み重ねで身についたノウハウです。その職場において発生する業務を知り尽くした職員が身につけたものです。顧客の申込、依頼、質問等に対しそれにはこれ、それならこれ、といった完了のシナリオを持っていて、即座に適切なシナリオを引き出し次になすべき行動を実行します。

ベテラン技といわれるノウハウにはこのような感応型が多いのですが、このノウハウの弱点は応用が利かないことです。兎に角その職場で発生する業務なら完全にシナリオを持っているのですが、なぜそうするのか、という理由にはあまり関心がありません。ですから経験のないことが発生すると対処できません。

対照的に方程式型のノウハウは、その業務の根本的な仕組みや構造を理解したもので、発生した事に対し適用すべきルールや機能を引き出し的確に判断をし正しい解を導くことができるノウハウです。従って、実に適用範囲が広く多くの業務をこなすことが可能です。

ノウハウ分析とは何か

ここでノウハウ分析に戻りますが、私がノウハウ分析をして分析結果として導き出すのは、この方程式型のノウハウの方程式です。実際に方程式型のノウハウを持っている方はほんの少数です。よって多くのノウハウ分析のケースでは、感応型のノウハウのシナリオを分析して方程式を導きます。
正しいシナリオは方程式で解いた答えと同じです。ですからシナリオを多く集め分析すればそのシナリオを導いている方程式を見つけることができます。

これは一般的に論理的思考といわれる中の帰納法の応用です。これでひとつのルール(方程式)を導き、演繹法のルールとし、他の問題を解決する。

一番大切なのは人の話を良く聞くことです

これがノウハウ分析の手法ですが、一番大事なのは論理的思考の前に、人の話を良く聞くことです。良く聞かないことには分析すべき情報が得られません。どれだけのシナリオを集めるかが分析結果の品質を左右すると言う訳です。

成功事例集のように、ベテランが身につけたシナリオをそのまま表現し共有する方法もありますが、それでは単なる丸暗記の域を出ません。応用しようとしてもかなり咀嚼しなければ自分のケースに適用できません。

ノウハウ分析で、ノウハウの基礎となっている手法(方程式)を導きそれを共有することで個々の能力を引き上げる。弊社はこんな方法で人材育成と営業店支援に取組んでいます。


頭の中はいつも空にするようにしています

どうして同時に複数のプロジェクトを進めることができるのですか?

と、よく聞かれます。
答えは「いつも頭を空っぽにしてそれぞれのプロジェクトに望む」です。
3~4プロジェクトを同時進行させるのが常態化してくると、切替え時に頭の中をリセットするのが習慣になります。というか、そうしないと同時進行はできません。

確かに、多くの方にインタビューさせていただきノウハウをコンテンツ化していくEPS導入プロジェクトを、複数同時進行していくのはタフな仕事かもしれません。あまり出張をされない方が私の移動状況を聞けばびっくりされるかもしれません。今週は東北、来週は北海道へ行き、その次は近畿方面へ一週間.........。
各プロジェクトはテーマが全く違うものもあれば、同じようなテーマもある。一ヶ月の間に30人くらいの方にインタビューさせていただくこともしばしば、ともし私が人から聞けば、よくがんばりますねえ。と思わず言ってしまうでしょう。

それぞれのプロジェクトを一週間なら一週間、その期間中の仕事に完全に区切りをつけ、その部分については必ず『形』にしておくことができれば懸案事項は無し、完了です。それで次回まで何も考える必要がありません。次回まではそのプロジェクトについては一切考えず、再度時間を経たところで前回の結果を見ることで、自分で自分の仕事を客観的に評価することができます。
自分で自分の仕事を評価することにより自分の考えの一貫性、あるいは柔軟性を確認していくことができるという訳です。

ポイントはその期間の仕事はその期間内に決着をつける。そしてすっかり頭を空にして次の仕事に望む。これを短サイクルでできるようにすれば、同時に複数のプロジェクトを進めることができます。あちこち移動するのもスイッチの切り替えになっているのかもしれません。

業種、職種を問わず、一人でいくつもの仕事を同時進行させているタフな方は多いと思います。是非、次の仕事を前の仕事を忘れる時間に使ってみてください。その時は、必ず前の仕事を完了させることを忘れないようにしてくださいね。

教えるためには工夫が必要

事務部の方からこんな話をよく伺いますが

1. 営業店の職員は自分で調べることをしない、直ぐ事務部に聞いてくる。
2. 営業店の役席が判断すべき事柄まで本部に問い合わせてくる。
3. しっかりできる職員が各支店に一人はいたものだが........。

皆様の銀行ではいかがでしょうか、悩ましい事実でないかと思います。
でも、このような現象を営業店の皆様のせいにしていても一向に解決しないのも事実です。ではどうしたらいいのでしょうか。そんな時、私はすかさず次のように申し上げます。

1. 相手は全くの素人だと思ってください。
 →こんなことは当然わかっているだろう。ということがわかっていないのです。
2. 勉強させるのではなく教えてください。
 →相手の自助努力には期待しない方がよい、皆さん優秀なので教えられたことは覚えます。
3. 教えるときは、実際の現場でそのまま使える実務を教えてください。
 →相手が咀嚼しなければならない教え方はだめです。ずばり答えを教えましょう。

少し考え直してみてください

そんなこと当然やってる、だけど一向に変わらない。とお怒りの方もいるかもしれませんが、すこし考え直していただきたいことがあります。それは、生徒が覚えないのは生徒だけの問題ではなく、教師にも問題があるということです。
予備校の人気講師の人気の秘密は、話のわかりやすさと使用する教材にあるといわれています。自分の意図したことを表現したオリジナルの教材を使用し伝達効果を上げているわけですが、ここでのポイントは、講師が独りよがりではなく相手に合わせた教育をしているというところです。どうやれば生徒に間違いなく伝わるかよく研究されています。

教育には工夫が必要ということですね。
振り返って事務に関する教育指導の現場はいかがでしょうか。もし、生徒の不甲斐なさに呆れているようでしたら、それは教師自身への危険信号かも知れません。
そんなときは是非ご相談を。EPSで解決のお手伝いをさせていただきます。


上司に物言う若者たち

上司に翻弄される若者ばかりではない

個人の気持ちは企業文化に左右されない。という強い信念を持った若きリーダーに出会いました。新しいことへの取り組みは、反対意見から始まるのが定説。満場一致で開始できることなど先ずないでしょう。それでも絶対にやり遂げたいという気持ちでプロジェクトをキックオフし最後まで引っ張っていただきました。内外のプレッシャーは相当のものだったと思います。
結果的にプロジェクトは成功し、大きく評価されました。今は営業店に栄転されリーダーとして活躍されています。若い方からも多くのことを学ぶことができます、素晴らしい方と仕事ができ大変勉強になりました。

キーマンのおかげです

組織をまとめるリーダーシップに脱帽

EPS導入プロジェクトは組織横断的な取り組みになります。それだけに部門間調整がプロジェクトマネジメント上とれも重要です。成果物を必要とする部門がリーダーシップをとりますが、必ずしも成果物を必要としない部門にも協力していただかなければなりません。
本部部門はどこが上か下かということはなく、大概並列に組織されています。ご存知の通り縦割り意識も強い文化の中、話し方や順番を間違えれば通る話も通らなくなる場合があります。
そんな時に、上手く部門調整していただけるキーマンに助けられます。コンサルタントなど所詮外部の人間で、正論は言えるものの内部の問題には入り込めません。キーマンの組織をまとめるリーダーシップに脱帽です。

上司に翻弄される若者たち

プロジェクトをやっていると色々な組織の人間模様に遭遇します

仕事の愚痴こぼしの相手としてコンサルタントはちょうどいいようです。一杯飲んだ席で若者たち(お客様側のプロジェクトメンバー)が盛り上がる。テーマは直属の上司の不甲斐のなさ。どうやら若者達の提案に対し良いと言ってみたり駄目と言ってみたり結論を出さないらしい。
結局その上の上司がこの提案をどう判断するかがその上司にとっての最大の関心ごとのようです。良し悪しを判断するのではなく、上の反応をうかがうという典型的なサラリーマンタイプなんですね。
僕に言わせればそもそもそんな組織階層が存在することが間違っているように思えます。それなら、その上の上司に直接進言したほうがよっぽど効率が良い。でもそれはできないんですね、この階層がある限り。
はっきりしない上司もひょっとすると上が喜ぶいい提案かも知れないので、小出しにしていって良ければ自分の成果にできるという考えも見え隠れ。いつまでこんな文化が引き継がれるのでしょうか。愚痴で盛り上がる若者たちもそのうち同化していってしまうのだろうか。とちょっと心配になります。